今月上旬、終了間際の下ノ廊下を山岳ガイドのIさんを誘って、2人で黒部ダムから白竜峡まで歩いた。
写真はその途中で撮影したもので、足下にはご覧のような千尋の谷が延々と続いて気が抜けない。前々日に降り積もった新雪が登山道の所々に残って、紅葉黄葉した木々に別山沢は谷全体が巨大な万年雪におおわれ、言葉を失う。
とてもこの世とも思えない想像をはるかに超えた黒部の大自然には、人々を惹(ひ)きつける不思議な魔力が潜んでいるようにも感じられる。この黒部という谷の存在こそが、剱という山の魅力をさらに崇高なものにする気がする。