数日来の吹雪もやんで、今日は珍しいほど、冬剱も穏やかによく晴れた。
ダケカンバやオオシラビソの木々が夕陽(ゆう・ひ)に紅(あか)く染まり、美しい樹氷の華を咲かせていた。
天空には小窓尾根から十一夜の白い月が昇っていた。
風は感じないが、外気はマイナス15度を下るだろうか?
太陽が沈むと急速に顔や手足を寒気が襲ってくる。
防寒服を着込み、久々に1人だけで静かに味わう神々しい冬山の日暮れであった。