夜明け前、空に見慣れない雲があった。
時に止まっている車が揺れるほどの突風が吹いていた。北陸特有のフェーン現象で、雲の流れが速い。上層の雲は赤暗く、日の出と共に下層の雲がオレンジ色に染まっていく朝焼けであった。
たまたま山岳事故に遭遇した時や、親しい人が亡くなった日などを改めて振り返ると、思いがけない写真が撮れたことが今まであった。
この写真も撮影した数時間後、糸魚川で大火災が起こった日であった。写真はそのものの記録でもあり、自分自身への何かのメッセージでもある。