村社の参道に咲く清楚(せい・そ)な山茶花(さざんか)、その背後に冬剱が映えていた。咲き誇る山茶花の赤い花から「雪月花」の言葉が思い浮かんだ。
雪の剱には、万年雪渓や氷河を抱いた「雪と岩の殿堂」、立山曼荼羅(まん・だ・ら)の絵図に描かれた針山には、怪しい雲と月――。「雪月花」で花は桜。剱にふさわしい桜といえば? 馬場島にある座禅桜(オオヤマザクラ)を思いつく。
剱を遠近から巡り、雪の山に魅了され、月を愛(め)で、季節の花に浮かれながら、富山の自然豊かな風土の中で暮らして、28年がたつ。
悪くはない。