車で走っていると、春の庭先にはあちらこちらで、いろいろな花々が目に飛び込んでくる。

　車窓から楽しむ景色が必ず写真になるとはかぎらないが、ただ車の往来が多い幹線道路沿いよりも、昔の集落をのろのろと走る道端に面白いものが見つかる。人まねでない風景写真は、「道草を食う」ことからはじまる。

　四方に枝をいっぱいつけた小さなユキヤナギの花は清楚（せい・そ）で、桜と同じバラ科の花言葉は、「愛らしさ」「静かな思い」とか。

　富士には、月見草がよく似合う――とは太宰治。剱に似合う花はなんだろう？ （文・写真