桜の美しさは目で、梅は香りを楽しむもの――。また、紅梅は色の濃淡を愛(め)で、白梅はほのかな香りを味わうとも。
2年前、里山で水仙の写真(47回)を撮っていたとき、近くの道端で大きな梅の木が目に留まった。既に花は終わっていたが、背景に剱から立山連峰が見える場所で、いつかここで撮ってみたい想(おも)いが残っていたのだろう。それが今年かなった。
この時期にしては季節外れの陽気で、天気は下り坂。雲が太陽を遮り始めた。満開の花は強風にあおられ揺れていた。写真で梅の香りは届けられないが、薫りを感じとってもらえればと思う。