新雪の剱を狙って上市町へ向かう。伊折橋のたもとに車を止め、雪の林道を小一時間ほど歩く。
周りの木々は雪の華が咲いたような銀世界。気温が高い時に降る雪で、踏むとぐぐっと靴が沈み、キュキュと音を立てる。風も弱く雪の降り方、積もり方がやさしく、都会に降った名残雪を思わせる。いつもの撮影場所へ着いた。
写真中ほどの山頂に向かって伸びるのが早月尾根で、上部は雲に覆われていたが、しばらく待っていると青空の中に目映(ま・ばゆ)い剱が姿を現してきた。この日は期待どおり。雪道を1人黙々とラッセルした苦労も吹き飛んでしまう。