去年の暮れ、富山平野の西部、射水市に広がる田園地帯の中にぽつんと立つ「鎮守の森」をみつけた。
風薫る5月、記憶をたよりにその場所を探し歩いた。裸木だった木々は萌(も)える新緑におおわれ、背後には残雪を抱いた立山連峰の山々が立ち並び、青麦を爽やかな風が波となって次々に吹き渡っていた。
写真左の大きく切れ込んだ谷が剱岳の大窓、次の鞍部(あん・ぶ)が小窓、そして細長い雪の谷が三ノ窓から滝のように落ち込み池ノ谷(たん)へと続く。
剱なる 大窓小窓 風薫る
深田久弥