凍(い)てつく夜明け。常願寺川の河口には湯気のような白い水蒸気が立ちのぼり、周りの景色を包み隠し、打ち寄せる波間に立山連峰が神々しく浮かびあがっていた。何かマジックにかけられたような神秘的な光景がすぐ目の前に繰り広げられた。
波の花と共に毛嵐(け・あらし)は北陸の冬の風物詩でもあり、気象用語では蒸気霧という。日の出と共に気嵐は一時美しいオレンジ色に染まり、その後太陽が昇るにつれ湯気は次第に消えて、何事もなかったかのようにまた平素の景色に戻っていった。
今日は久々に穏やかな日よりになりそうである。