2014年12月28日
剣岳遠近(おちこち)
時には貴婦人のような姿も 国見岳から

 11月下旬、立山黒部アルペンルートも終了間際、雪をかき分けながら国見岳に登った。

 剱が夕日で紅(あか)く染まった後、山裾に白い雲のベールが漂い、空がバラ色にほのかに染まった。静かに暮れゆく黄昏(たそ・がれ)、優しさに包まれた時間が流れる。

 いつもは厳しいはずの剱も、時として笑みを浮かべる貴婦人のような姿を見せることがある。

 さまざまな場所から、季節が変われば、剱は七変化する。不思議がいっぱい詰まった山である。