雲海に覆われていたブナクラ谷が日没間際、急に晴れ上がり、それまでガスに隠れていた新雪の山々が姿を現した。
ブナクラ峠の草の生えた急斜面をよじ登る。途中、鋭く切れ落ちた岩場を見つけ、三脚を立てた。正面左に赤谷山、一番奧に剱を配して構図を決める。その意図は明暗の対比、コントラストにある。
黒い岩が画面全体に緊張感を与え、シャープでくっきりした白銀の剱岳が青空に際立った。
ブナクラ峠からは黒部の谷を挟んで、鹿島槍ケ岳など後立山連峰の展望もいい。