標高2070メートルの大猫山は登山口からいきなりの急登だ。山々の景色もなく、木の根やロープにつかまり、ひたすら我慢の連続である。やがて木々の合間から剱が顔を見せると、ほっと一息つく。
途中の細尾根で笹藪(ささ・やぶ)の中に、ムラサキヤシオツツジの鮮やかな紅紫の花色が目に飛び込んできた。日が陰る寸前で、初夏の光を受けた剱を背に急いで撮影した。
剱と花を写す場合、ニッコウキスゲなど背丈の高い花は楽だが、チングルマなどは腹ばいになって撮ることも。撮影にはそれぞれ工夫と根気がいる。