2013年10月27日
剣岳遠近(おちこち)
晩秋の岩肌 衣まとう行者 大日小屋から

大日岳や奧大日岳にかけての大日連山から眺める剱は、すっきりとした三角形の「容姿端麗」といった風貌(ふう・ぼう)か。日が沈む間際、東大谷から山頂に突き上げる南西面の岩肌を薄日がほのかに照らしていた。

紅葉でもない、新雪でもない何の変哲もない殺風景な剱にも見えるが、妙に気にかかる。

尖(とが)った剱の山頂部分から下部にかけては修験道の開祖、役行者(えんの・ぎょうじゃ)のやせ細った姿の顔や肩を思わせる。晩秋特有の渋い色合いの岩肌は衣をまとっているかのよう。作品のタイトルは「寂光」と名付けた。