熊ノ岩は長次郎谷を右俣と左俣に分ける巨大な岩だ。ここから左俣は、小説「劔岳 点の記」で陸軍陸地測量部が剱岳に初めて登頂したルートとして描かれている。
熊ノ岩にビバークしていた時、テントの中が急に明るくなった。外を見ると、八ツ峰の鋭く切れ込んだ岩の間から月が昇ってきて、岩峰を煌々(こう・こう)と照らしている。
カメラをセットしていたら、源次郎尾根の方から大きな流れ星が電光石火のごとく八ツ峰に消えていった。後日もしかしてと期待したが、流れ星は写っていなかった。再挑戦である。