2011年12月24日
立山連峰季節のたより
山河暮色

神通川は富山県のほぼ真ん中を南から北へ流れる全長約120kmの
県最大の河川。飛騨高山では宮川、県境付近では高原川と合流し、
県内では井田川や熊野川などの支川を合わせ富山湾に注ぐ。
その源は岐阜県の標高1626mの川上岳(かおれだけ)
と読み方が一風変わった名前の山だ。
忘れてはならないのが昭和26年、地元の萩野昇医師が「イタイイタイ病」
と名付けた神通川流域で起きた神岡鉱山のカドミウム汚染が原因による公害病だ。
患者は腎障害のため、カルシウムの吸収ができなくなり、骨軟化症となって、
病状がさらに進むと、全身の骨がバラバラに折れ激痛を伴い、布団をかぶせただけで
骨折し「痛い・痛い」と叫びながら死んでいくという悲惨な病だった。
さて、写真撮影をした下流域の河原に今は、ヤナギ・ススキ・ヨシなどが群生し、
チドリの仲間、シギ類、セキレイなどの野鳥をはじめ、アユやサケ、マスなど多種多様な動植物が生息している。コンクリート護岸などの人工構造物が少なく景観にも配慮し、
川の自然環境を大切にすることが、人間にとっても安心で豊かな暮しのできる一つのバロメーターなのかも知れない。
日没間近になって、山々をおおっていた雲がとれはじめ、
雲間から立山連峰が夕陽にほんのりと紅く染まり、浮かび上がってきた。


ペンタクス645N 
80〜160mmズーム F3.5
F13  1秒 
フジクロームベルビア(RVP)