2011年12月31日
立山連峰季節のたより
白い渓

本文写真は今年も暖冬か―と思いきや、一気にドカ雪が来たときに立山山麓の粟巣野(あわすの)にある百間滑(ひゃっけんなめ)で撮影したもの。
はじめこの雪の渓を見た瞬間、日本画の巨匠、東山魁夷の“たにま”を思い起こさせた。
作品は昭和28年(1953年)の日展に氏が45歳の時に出品したもので、
「私の描きたいと思ったのは自然の一隅に見出した、ひそやかな生命の賛歌である。」
と書かれてある。東山魁夷展(日本経済新聞社)1998年
風景は「人間の心の祈り」とも「心の鏡」であるという氏の晩年の展覧会を
富山県立近大美術館ではじめて見たときの驚きは今でも忘れられない。
雪の中に細い流れが春の到来と共に流れ出した情景を丹念にスケッチしたものや精魂込めた大小の下図の数々であった。
それを「自然観照」という言葉に置き換えると、画も写真も自然を敬うことからはじまる根底は同じで、問題はその人の心の在り方だろうとつくづく思う。


撮影データ  ペンタックス645N 55_レンズ F2.8
オート(絞り優先) F16 1/10秒 +1補正
フジクロームベルビア100F(RVPF)
撮影日:2008年11月23日