2011年12月17日
立山連峰季節のたより
風の道しるべ

雪山では悪天候が続いた後にチャンスが巡ってくる。
この時も連日の吹雪が止んで、気温がぐっと下がって夜には星が瞬いていた。
夜明けとともに宿を出て、あらかじめ決めておいた撮影場所に向かった。
写真では室堂乗越を隔てて剱岳の王冠の頂が朝日を浴びるのを待って撮ったもの。
手前のオオシラビソの木は日本海から強い北西の季節風によって
見事なエビノシッポにおおわれていた。
通称「海老の尻尾」と呼ばれているもので、冬山の厳しさが想像出来る。
木は風の影響を受けておじぎをするように右側に傾いているのに対し、
エビノシッポは反対側に伸びているのがおもしろい。
また、このエビノシッポの大きさから冬型の強弱がわかると同時に、
付き方の様子から天候回復の目安にもなった。
これがさらに発達すると「蔵王の樹氷」で有名なあの雪のモンスターになる。  
雪は気温が低いと樹木に付着することなく吹き飛んでしまい、
過冷却された水滴が樹木にぶつかった時、瞬間的に凍りつくことによって
出来た霧氷が付いたもので、エビのシッポのような形で風上方向に成長する。
この隙間に雪が積もるとモンスターに変身する。


ペンタックス 645N 35mmレンズ F3.5
F22 1/15秒 フジクローム (RVP)