2011年12月10日
立山連峰季節のたより
富士の峰清々

浄土山、雄山、別山(べっさん)を立山三山といい、立山ではこれらの山々を順々に登拝することを三山めぐりといった。
西方浄土に見立てられた2831bの浄土山、立山の主峰、3003bの雄山は立山権現社と呼ばれ、神仏習合の神々を祀っている。標高2874bの別山には別山社(帝釈天を祀る祠)があり、帝釈岳とも呼ばれ、平安時代の今昔物語には帝釈天がこの山にいて、人々の善悪を裁いていたと記載されている。山頂からは剱沢を隔てて、真北には立山地獄の一つ、針の山として立山曼荼羅に描かれた2999bの剱岳が勇壮な姿をみせている。
西に大日岳、東には鹿島槍ガ岳、南方面には立山から薬師岳、槍ガ岳、さらに笠が岳など360度、北アルプスの名峰がずらり顔をそろえている。
後立山連峰の針ノ木岳から続くしろがねの稜線には、この日、雲海から富士山が小島のように優美な姿で浮かんでいた。
また、別山からおよそ南西の方向には加賀の白山も眺められ、日本の三名山、三霊峰がこの頂きから望むことができる。
ところで、別山はこの新聞連載がはじまって間もない頃に発表した「ライチョウ孤高」や、もう20数年以上前、白山方面を幾重にも連なった山なみの光景を写した「山脈多重奏」の作品を撮影した心に残る場所でもある。
季節はこの写真と同じ、11月、小春日和のような午後であった。


ペンタクス645N 400mm F5.6
F16 1/350秒 
フジクロームベルビア100F(RVPF)