2011年12月3日
立山連峰季節のたより
波音轟く

富山湾は北西の季節風が吹く冬でも、西の方に能登半島が張り出しているため、
自然の防波堤となり外海に比べ比較的平穏だといわれる。
最近ではあまり耳にしなくなったが、「寄り回り波」という言葉がある。
主に冬、悪天候がおさまり富山湾の風や波が静まった、穏やかな天気のときに
突如として襲ってくる富山湾特有の大波だ。
日本付近が冬型の気圧配置のとき、オホーツク海で低気圧が急速に発達を続けると、
北海道の西方海上で北よりの暴風が吹き荒れ海は大時化になる。
この季節風が長時間続くと、その波が津波のように大きなうねりとなって
一日かけて富山湾の沿岸にやってくる。波の写真を夢中になって撮っていると
時折ドーンというすさまじい炸裂した音が聞こえ、逃げ遅れると
空から冷たいしぶきの洗礼が飛んでくる。
沿岸近くまで深い地形になっている富山湾は波のエネルギーがおとろえないまま
やってきて、浅い海岸近くで急に高い波になるから油断ができないという。
さて、平成になって20年、富山の冬はスキー場泣かせの暖冬少雪傾向で、
寒ブリ漁がふるわないなどの異変もこれから先、いつまで続くのか誰にもわからない。
北陸地方のけあらしや豪雪、能登の風物詩として知られる「波の花」など強い冬型が長続きしなくなったのか出現回数が少ない気がする。
このままでは雪国の自然の厳しさをだんだん忘れ影が薄くなっていく気がするが、
「天災や災害は忘れた頃に突如やってくる!」という昔の格言はまだ失われていない。


ペンタクス645N 400mm F5.6
F8 1/350秒 
フジクロームベルビア(RVP)