2011年8月20日
立山連峰季節のたより
色づく棚田の小道

「文化は静かな片隅から起こる」と語りかけた写真集が手元にある。
平成9年(1997年)に神無書房から出版された故前田真三氏の「田舎」である。
あとがきの中で自然をないがしろにする精神や物質利潤を優先する社会を
写真家の前田さんは批判している。
この写真は1995年8月25日、富山県立山町の座主坊(ざすんぼう)の棚田で撮影したものだが、その当時と比べ休耕田が増え、今は半分ほどしか残っていない。
山村には刀尾(たちお)社があって立山信仰と深く結びついていたが、
町役場で調べてもらうと、過疎化で現在、3世帯、5人しか住んでいないという。
自然とふれあうことの少なくなった今日、「田舎」は近くて遠い場所になりつつある。
その一方で若者たちにとって故郷をもっと魅力ある場所にし、次世代に残そうと
試行錯誤している人々もいる。帰りなんいざ、我が心のふるさとへ。


ペンタクス67 75_レンズ F4.5
F22 1/30秒 フジクロームベルビア(RVP)