本文黒部源流の秘境、高天原(たかまがはら)は北アルプスの山々に囲まれ、
深い原生林の森に開けた夏の湿原にはニッコウキスゲをはじめコバイケイソウ、
ワタスゲなどの花々が咲き乱れる楽園である。
また、奥山に湧き出る乳白色の天然露天風呂は野性味たっぷりで、
心地よい風に吹かれながら登山で疲れた体を癒し、
心と体のリフレッシュにはうってつけである。
昨年、ここに訪れたのはある山岳雑誌の取材の時だった。
高天原山荘は北アルプスでは数少ない懐かしいランプの山小屋。
気心知れた管理人夫婦をはじめ、働くスタッフも気さくな山仲間といった感じで、
ステキな人々との出会いに消灯まで話が弾んだ。
夜明けを待って小屋を出た。日の出にはまだ一時間ほどある。
薬師岳にあたる朝日を撮るため、竜晶池へ向かった。
シラビソの森の中を木霊に導かれながら歩いているとおとぎの国に迷い込んだようだ。
早朝の池は静まりかえって、足下にはチングルマの花穂が露で青白く光り、
幻想的な光景にしばし見入ってしまう。
そうこうしているうちに神秘的な池に映った木々の間から山々が薄紅く染まりはじめた。
ペンタックス 645N 35mmレンズ F3.5 絞り優先オート F22 1/6秒 マイナス0.7補正
フジクロームベルビア100F (RVPF)