2011年5月7日
立山連峰季節のたより
常願寺川滔々

常願寺川には雪解け水が音を立てて勢いよく流れていた。川面を渡る風はまだ少し冷たかったが、日差しはやわらかく、よく見ると堤の土手には淡い緑色の草目が萌え始めていた。雪を抱いた山々にもどこかうららかな春を感じさせる。この写真はカメラを思い切って水面ギリギリに構え、飛沫にタイミングを合わせながら撮った中の一枚。
富山湾に注ぐ川には急流の一級河川が多い。北アルプスを源とする黒部川をはじめ片貝川や早月川、神通川、そして「日本一の暴れ川」の異名を取った常願寺川もその一つ。この川の上流部は立山カルデラを流れる湯川と薬師岳や北ノ俣岳の雨や雪を集めた真川とが合流する。また、千寿が原で合流する称名川には日本一の落差340bを誇る称名滝があり、
立山にまつわる歴史や数々の伝説を秘めている。
ここで、「立山連峰」と呼ばれる定義を述べておきたい。県立立山博物館の米原寛館長が記したものによると、立山連峰は一般的に「立山を中心とした山岳、峡谷の総称であり、剱岳・立山・薬師岳の山脈、黒部川を隔てて対岸の白馬岳・鹿島槍ヶ岳などの後立山連峰などを含む」としている。狭義には剱岳・立山・薬師岳の山脈をいう。
この連載では富山県内のいろいろな場所から見える立山連峰の季節の表情を紹介していこうと思っている。これらの場所から見た景観は富山の財産であり、未来に残したい風景でもあると強く感じているからである。

写真データ
ペンタックスLX35―20_
ズーム(20_相当)F4
F22 1/30 プロビア100F