2011年4月9日
立山連峰季節のたより
白い花咲く山路


富山市街から359号で砺波市に抜ける幹線道路沿いには里山が多い。
沿線から脇道に入るとすぐ林道に変わり、車の姿が急になくなりホッとする。
田んぼに沿った農道からは冬枯れた雑木林の中に清楚な白いコブシの花が人知れず
際立って咲いていた。
いつの頃からか北陸路の「道」をテーマにした写真を撮っている。
富山には3003mの雄山山頂へ道に通じるかつての険しい修験道や立山登拝に刻まれた
山岳信仰の道が残っている。また黒部の秘境、下の廊下の水平道や富山湾に面した海岸の松林の道まで、題材を探せば季節の道にはさまざまな表情がある。
その中でも好きな道は農山村を行き交う山道、田畑の小径や棚田の畦道、空がいっぱいの野道など、香ばしい土の匂いがする古里の道だ。しかし、最近はどこに行ってもアスファルトに変ってしまい、ブラッと歩いてみたい衝動に駆られるような道に出合う機会も少なくなってしまった。
喧騒を離れたとき、人はふと自然の声に耳を傾けたくなる。小川のせせらぎ、野鳥のさえずり、田に水が入ればカエルの合唱が聞かれる日ももうすぐだ。

ペンタックス35mmカメラ 20〜35mmズーム
F3.5 F22  1/30秒 フジクロームベルビア100(RVP)