2011年3月5日
立山連峰季節のたより
雨晴海岸の渚にて

海から3000mの北アルプスを望む雨晴海岸は風光明媚な景観で親しまれている
場所である。これから冬の季節、「けあらし」と呼ばれる、水蒸気が海面から立ち、
日の出とともに立山連峰が富山湾に浮かび上がってくる幻想的な光景がみられる。
その瞬間を狙って全国からたくさんのカメラマンが押しかける。
さて、ここの風景で大切に思うのは青空に聳える立山連峰でも
日の出やけあらしでもない。気がかりなのは砂浜だ。
ほとんどの人が立山連峰のパノラマだけに目を奪われがちだが、
足元の風景にもっと目を向けて欲しい。
写真は1998年2月2日に撮影した時のものだが、
残念ながらこの景色はすでに失われてしまった。
今、富山県の海岸で美しい砂浜が続く海岸線が残っているのは、
氷見市の島尾海岸や朝日町のヒスイ海岸くらい。
近年、海岸浸食で砂浜がめっきり減少し、護岸整備に伴って
防波堤や波消しブロックなど人工物が増え、周りの美観を損ね、
情緒が失われてしまった。
人は海があるというだけで何か気持ちがリッチになるものだ。
ある写真展の時、かつての雨晴海岸の海は遠浅でハマグリが採れ、
皆で海水浴をしたという話を聞いたことがある。+
ちょっと前の話がもう遠い昔話になってしまったような気がして寂しい。


ペンタックス645 35mmレンズ F3.5
F32 30/1秒 
フジクロームベルビア(RVP)