2011年2月12日
立山連峰季節のたより
黎明に立つ

富山県の西部、石川県との県境に近い所に稲葉山という標高347mの山がある。
車で行ける手軽さから天気のよい日や週末には家族連れや若者など多くの人たちが
ここにやって来る。山頂には展望広場があり、砺波平野の象徴ともいえる散居村
(屋敷林)の風景が箱庭のように広がり、その遠く東には立山連峰が一望出来る。
南には小矢部の市街地や五箇山周辺の山々をはじめ白山など、
北東の方向には北アルプスが日本海に落ち込んでいる「山の端」も見える。
ここは稲葉山牧場の名前で親しまれ、ふれあい動物広場や中腹には洒落た
サイロの建物もあってどこか北海道のイメージを感じさせる景色だ。
牧場の中にはコナラというドングリの木が4本ある。
この写真の木はその中でも形がよく、一本の木に見えるが幹は4本に分かれていて、
四季を通して何度か訪れた時に撮った写真を庭師の人に見せた所、
「株立ちをした木」だと教えてくれた。つまり伐採された後、ひこばえ(萌芽)を
だし、親の株元から4本の若木が生長してこのような樹形の整った木になった
という話だった。
この木に惹かれたのは巨木でもなく、いつ切られても不思議ではなく、どこにでもあるような木
だが、立山連峰と対峙し何かを語りかけ、ここだけにしかない愛おしい木に想えるようになったからである。
夏の頃来たときはこの木の下で牛たちが気持ち良さそうに昼寝をしていた。

ペンタックス 645N 35mmレンズ F3,5
F3,5 約4分 フジクロームタングステン (RTPU)