2011年1月16日
立山連峰季節のたより
雪日の内川

漁船がずらっと並ぶ川べりを幾度となく歩いていると、漁網や採れた干し魚、
民家の物置には洗濯物、細い路地裏に入ればどこかなつかしい商店街などなど
雑多な中に少し昔の忘れかけていた何かほのぼのとした生活感を感じる所である。
山田洋次監督、映画「男はつらいよ」の舞台に登場しそうな風景描写の一コマだが、
残念ながら富山県内ではロケはされないまま終った。
もしこの場面なら、万年雪駄ばきの寅さんはしもやけになって?可愛そうである。
そこで野暮な推測話を一つ。
寒さに苦手な寅さんはコタツに入ってマドンナにこう話しかける。
「・・ちゃん、外はまだ雪降ってるかい?」
「エエ、たくさん積もったわよ」
「そうか〜雪はイイねェー」
「嘘ばっかり。朝からちっとも外に出ようとしないんだから」
「でも何年ぶりだろうなあ、こんな大雪見るのは。」
「オレはねえ、都会生まれ育ちだから嬉しいんだよ、こういう景色は」
「バカにしてるんでしょう?」
「冗談いっちゃいけないよ。人間はね、自分の生まれ故郷に誇りを持ってなくちゃ」
近年、地球温暖化が進み自然環境や景観遺産に年々関心が高っている中、
“古くさいもの”が簡単に棄てられ、日本の田舎がどんどん都市化されていく。
しかし、人は失ってみてはじめてそのものの良さが分ってくる・・・。
「寅さん、そんなこともうみんなとっくに知ってるわよ。でもどうにもならないのよ、
時代の流れだから・・・。」
古き良きものに浸っているだけでは何も生まれてこない。

ペンタックス645N 55_レンズ F2,8
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