立山山麓(さん・ろく)にある芦峅寺雄山神社の境内の片隅にひっそりとたたずむ写真の祠(ほこら)は、剱岳山頂に半世紀もの間鎮座していた旧社殿だ。
1956年、立山味噌(み・そ)醤油(しょう・ゆ)(株)の吉川良平氏のご高志によって建立され、祠は山の有志たちによって早月尾根から担ぎあげられた。2008年夏、老朽化が激しく山頂で正遷座祭が行われ、建て替えられた。
2対の石仏が納められていたというケヤキの祠は、ヘリで麓(ふもと)に下ろされたものの放置されていた。その後、雄山神社で「剱嶽社」として保存されることになった。多くの登山者を見守ってきた魂の詰まった祠は今も健在だ。