自分一人ではなかなかこられない三ノ窓にテント泊した時のこと。
どこからともなく湧き上がってきた白いベール状の雲が、黒々としたチンネ(左)やジャンダルム(右)の岩峰にまとうように次々と流れていく。
自由気ままに湧いては消え、消えてはまた湧き上がるこの幻想的な光景を2、3度くりかえすうちに周りの景色は一変、濃いガスにつつまれ何も見えなくなった。
しかし天気を崩すようなガスではなく、剱の天空は快晴だろうと、長年の経験から楽観する。案の定、夕方前にガスは晴れ真っ青な夏空がまた広がった。