2017年4月9日
剣岳遠近(おちこち)
峰と空の濃淡 日本画の趣 上市町稗田から

 春はあけぼの――。「光の春」ともいわれるような景色に出合った。

 手前は黒々した杉木立、それに折り重なる里山のなだらかな曲線、その背後に剱のとげとげしい凹凸の岩峰が対照的に映った。白と黒の濃淡やほのかな空の色合いに日本画の趣を思わせた。

 息子と同じ年頃の男性に私の写真を、ある人と比較して「どこが違う?」と聞いてみたことがあった。

 その彼いわく、「端的にいうと、○○さんの写真は三角にとがっているけど、敬市さんの写真は丸い」。

 う〜ん、なるほど。自分では意識したことはなかったが、的を射ているとも思った。