春はあけぼの――。「光の春」ともいわれるような景色に出合った。
手前は黒々した杉木立、それに折り重なる里山のなだらかな曲線、その背後に剱のとげとげしい凹凸の岩峰が対照的に映った。白と黒の濃淡やほのかな空の色合いに日本画の趣を思わせた。
息子と同じ年頃の男性に私の写真を、ある人と比較して「どこが違う?」と聞いてみたことがあった。
その彼いわく、「端的にいうと、○○さんの写真は三角にとがっているけど、敬市さんの写真は丸い」。
う〜ん、なるほど。自分では意識したことはなかったが、的を射ているとも思った。