新雪が来た翌朝、小窓尾根の1600bに登った。
ここまでくる物好きは私と親友の山岳ガイドの二人だけ。
午前10時を過ぎても剱の北西側にはなかなか太陽が当ってこない。
今日は日帰りで池ノ谷二股を目指すはずだったが、雪渓の状態が悪く、諦めた。
ここから望む北西面は池ノ谷から突き上げる剱尾根が象徴的で、
200ミリの望遠レンズで抜けるような青空を背景に、剱の頂はカットし、
黒い岩と白い雪の稜線を部分的に切り取ってみた。
左側の黒い岩の突起が「門」と呼ばれる核心部で、右端上のピークが剱尾根の頭(ずこ)、
下部には蒼く沈んだ池ノ谷右俣の万年雪が見える。