嵐が去った翌朝、大日小屋から下山中、風の芸術、シュカブラに見とれカメラを向けた。写真から思い起こすことがある。2000年3月、北アルプスの大日岳で雪庇(せっぴ)の崩壊で11人が滑落、うち2人の大学生が死亡した事故。この時、約20メートルもの巨大雪庇を誰が予想しただろうか?
好天に恵まれた昼近い最中、事故は突然起きた。昨年御岳で起きた火山噴火と似ている。人は自然を既成概念で測ろうとするが、これで安心安全という基準はない。山登りはアクセルとブレーキ。先へ行くか、もう、ここでやめておくか、とっさの判断が時に生死を分ける。風化させてはいけない。