未明の空に小窓尾根の方から剱尾根にかけて、神々しく下弦の月が昇ってきた。
しかし、見る間に月は黒雲の中に隠れて見えなくなってしまった。
まさに春宵(はる・よい)一刻値千金。
つかの間の春の月を眺め、ふと思い出した。
立山曼荼羅(まん・だ・ら)の絵図では、立山の空に赤い太陽を、剱岳は白い月を配し闇の世界、つまり死後の世界を表すともいわれる。
月にはさまざまなロマンや伝説などが数多くある。
新月はもうすぐ。