立山の天狗平付近から撮影した作品は以前、69回でも紹介した通りである。
運がよければ、最近のデジタルカメラなら高原バスの車窓から連写で面白い剱が撮れる。
報道カメラマンでない私は、いまだフィルムに愛着を持つ。山と向き合い集中し、狙いをさだめる。
多くはいらない。人と自然がつながるような、祈るような気持ちでチャンスを待つ。
南西面の東大谷(ひがし・おお・たん)が、剱が夕映えに刻一刻、一枚の絵を描くように染まっていく……。