日増しに日が短くなり、人里もすっかり秋めいてきた。ひっそりとした風景の静けさを打ち破るかのように突然、どこからかモズの甲高い鳴き声が周りに響きわたる。
一瞬、ハッとして我に返る。
ひんやりとした朝靄(もや)の中、剱の稜線(りょう・せん)に雲間から漏れた射光が幾重にも走る。変わりやすい秋の空、移りゆく景色は、見る者を刹那(せつ・な)的な思いにさせる。
立山連峰の峰々が白くなる頃、この写真を撮影した常願寺川が流れる河原のアキグミも赤い実をたわわにつけるだろう。