高い山では稜線(りょう・せん)を吹く風は急に冷たくなり、夏の山とは一変する。
夕方近く、剱の上空に笠雲のような巨大なレンズ状の雲が出現し、みるみるうちオレンジ色に染まっていった。低気圧から延びる寒冷前線が日本海を南下してくる時などに見られる風雲の一種だ。
水蒸気を多く含む空気が上昇気流で高い山を登っていき、雲が湧く。自然現象などで気象を予想する「天気ことわざ」では、こうした笠雲は悪天の前兆とされる。
季節がバトンタッチする9月。山肌は一雨ごと、彩りを深めていく…。