朝の静寂な水田に山々が映しだされていた。集落を覆うスギ林、左端の大木はケヤキだろうか。新緑薫る里山の背後には右から立山、大日岳、剱岳を望む。山紫水明の懐かしい古里の風景を思わせる。
山々を見ると、大日岳と立山には陽(ひ)が当たり光っていたが、剱岳は影。明暗が対照的だった。私の住む立山山麓(さん・ろく)の芦峅寺はかつて山岳信仰が盛んで、急峻(きゅう・しゅん)な剱岳は地獄の針の山とされた。一瞬の光景を見てふとそんなことを思った。
この水田にもそろそろ早苗が植わり、初夏の風になびいているだろう。