2014年3月9日
剣岳遠近(おちこち)
限られた者しか入れぬ世界 小窓尾根上空から

 厳冬の朝一番、剱岳の上空を飛んだ。 燦々と朝光を浴びる南東面から北西面の池ノ谷側に回り込むと、山姿が一変する。  まるで蟻地獄の奈落の底へ吸い込まれていくように、暗澹として不気味だった。

 写真左下部は小窓尾根の「マッチ箱」ピーク。 中央下部から剱岳山頂に向かって鋭い刃物が立ち上がるように続くのが剱尾根。 剱に憧れるクライマーの「登竜門」とされる。

 光が当たっている部分が剱尾根ドームで、登攀ルートはここを起点に上半部と下半部に分かれる。 限られた者しか立ち入れない世界だ。