2011年9月17日
立山連峰季節のたより
レンズ雲襲来

残暑が続く8月の終わりから9月初旬、
それまで太平洋高気圧が我が者顔で陣取っていた夏の空に、
一つの季節の転機が訪れる。それがこの写真のレンズ雲である。
日本海を寒冷前線が南下してくるときなどに見られる雲で、
凸レンズの形に似たことからついた名で、風が創る雲、「風雲」とも呼ぶ。
また、逆光で見ると彩雲と呼ばれる綺麗な五色の雲の虹が見られる。
雲は刻々と形を変えるのでよく観察していないとシャッターチャンスを見逃す。
この前線が通過していったあと、大陸から移動性の高気圧がやってきて、
朝夕など急に涼しくなり、高い山では秋をしっかり意識するようになる。
そうかと思えば熱帯地方の空気を持った思わぬ台風の雲の襲来もあり、夏と秋が一進一退を
繰り返しながら、めまぐるしく変化する。
季節の狭間や節目には、つかの間の休息や、今生きている実感を覚えることがある。
たとえば、長く厳しい冬を過ごしたあとに訪れる春の喜びや、猛暑が一段落した後の安堵感など。
北陸にはその季節の節目の頃に五穀豊穣を祈る祭りがある。天災を恐れ、同時に自然からの恵みに感謝してきた祭りで、その一つが哀愁の音色と歌声が響く越中おわら「風の盆」。
歌われよ〜 わしゃはやす〜 越中で立山 加賀では白山 駿河の富士山 三国一だよ〜

データ− ペンタクス645N 35mmレンズ F3.5
オート F19 1/125秒 フジクロームベルビア(RVP)

ペンタックス645N 55mmレンズ F2.8
F11 1/250秒 フジクロームプロビア100F (RDPV)