常願寺川には雪解け水が勢いよく流れていた。
川面を渡る風はまだ少し冷たかったが、陽射しはやわらかく
よく見ると堤の土手には淡い緑色の草芽が萌え始め、
雪を抱いた山々にもどこか麗らかな春を感じさせる。
この写真はカメラをおもいきって水面ぎりぎりに構え、
飛び跳ねる飛沫にタイミングをあわせながら手持ちで撮った中の一枚。
カメラを低くして撮ったもう一つのわけは高い位置からだと高圧線など目障りな障害物が多く、できるだけ立山連峰の景色を阻害してしまうものを堤で隠しシンプルな画面構成にしたかったからである。
さて、富山湾に注ぐ川には急流の一級河川が多い。
北アルプスを源とする黒部川をはじめ片貝川や早月川、神通川、
そして「日本一の暴れ川」の異名をとった常願寺川もその一つ。
この川の上流部は火山活動によってできた巨大な爆裂火口
でもある立山カルデラを流れる湯川と
薬師岳や北ノ俣岳の雨や雪を集めた真川とが合流する。
また、千寿ヶ原で合流する称名川には
日本一の落差350mを誇る称名滝の大瀑布があり、
立山にまつわる歴史や数々の 伝説を秘めている。
ところでこの連載にあたり「立山連峰」と呼ばれる定義を
述べておかなくていけない。
現富山県立立山博物館、館長の米原 寛氏の記したものによると、
「立山連峰」と呼ばれる名称は一般的に「立山を中心とした
山岳、峡谷の総称であり、剱岳・立山・薬師岳の山脈、
黒部川を隔てて対岸の白馬岳・鹿島槍ヶ岳などの
後立山連峰などを含む」としている。
狭義には剱岳・立山・薬師岳の山脈をいう。
富山写真語 万華鏡100号より
これについては賛否両論あるかと思われるが、
御理解と御了承をいただけたら幸いである。
この一年間の連載にあたっては富山県内のいろんな場所から見える
立山連峰の季節の表情を毎月掲載していこうと思っている。
またこれらの場所から見る景観は富山県の財産でもあり、
未来に遺したい風景でもあると私自身強く感じているからである。
ペンタックスLX 20-35mmレンズ ズーム
F4 約1/30秒 RVP