2013年12月15日
剣岳遠近(おちこち)
山の女神 標高差250bの「洗礼」 三ノ窓付近上空から

フライトした日、剱岳上空は曇って時折、薄日が差す天候だった。嵐の大海原を漂う小舟のように機体が小刻みに揺れる。

 西側から入り早月尾根を越えると、小窓尾根や剱尾根の峻烈(しゅん・れつ)な岩壁が眼下に迫ってきた。三ノ窓上空から白い塔のような凍(い)てつくチンネを狙う。白く尖(とが)ったピークは剱本峰ではなく八ツ峰の頭だろうか。

 三ノ窓は岳人の憧れ、聖地とも。その象徴のチンネで、大岩壁を強者がクライミングする。若いクライマーたちはここで苦闘し、山の女神の「洗礼」を受けるという。