2013年5月26日
剣岳遠近(おちこち)
こころ染める夜明けのたたずまい 富士の折立から

広大な「内蔵助カール」を朝光が紅く照らし始めた。 立山連峰の東面には、氷河の浸食作用によって削られたとみられる窪地の圏谷(カール)が多い。冬の季節風(西風)が、山の反対側により多くの雪を積もらせるからだ。  深夜3時過ぎ、満点の星空を眺めながら一ノ越山荘を出て、立山山頂へ向かった。途中で夜が明け、大汝山を経て富士の折立付近に着いたときには、後立山連峰から太陽が昇る寸前だった。

稜線の縦走路は真砂岳から別山へと続き、その奥に凛とした剱岳が冴えていた。

夕方、撮影を終えた帰り道、カエルの鳴き声が賑やかに聞こえてきた。すべての命が思い思いに躍動するほのぼのとした季を感じた。