2017年5月21

剣岳遠近(おちこち)

行くか戻るか 迫る5月の嵐  別山尾根から

 

 

里は、風薫る5月。しかし、山岳では時に思いがけない冬の嵐に遭遇することがある。剱御前の小屋から別山へ向かう途中、すさまじい風に翻弄(ほん・ろう)された。青空だったはずが、ブリザードで太陽は輝きを失い、周りの景色が一瞬で真っ白くなった。

 一人では立って歩けない。岩陰にしゃがみ込んで剱とにらめっこしながら様子をみる。「これじゃあ撮影どころじゃない、やめた、やめ」と弱気な私と、もう一人の勝ち気な私が、「何いってんだ、撮れ撮れ」と、交互にささやく自分がいる。

 行くか、戻るか――。厳しい気象条件ほど、いつも二者選択を突きつけられる。